シェンゲン協定の罠
日本人がヨーロッパ旅行する際、一旦EU圏内に入ってしまえば、基本的にパスポートチェックなしで他の国に移動できます。これは「シェンゲン協定」のおかげなのですが、旅程によってはこれが仇になります。
極端な例を用いるとすれば、
1.東京からANAの直行便で最初にドイツ・フランクフルトで入国し2泊
2.その後ルフトハンザを利用してフランス・パリへ行き2泊
3.さらにKLMオランダ航空でパリからオランダ・アムステルダムを経由し、アムステルダムに日帰り観光し、
4.同じ日にアムステルダムからイギリス・ロンドンへ向かったとします。
このパターンの場合、スタンプを押されるのは、1.の「日本を出国した時とドイツに入国した時」と4.の「オランダを出国した時とイギリスに入国した時」です。
2.の「ドイツの出国とフランスの入国」
3.の「フランスの出国とオランダの入国」
これらはスタンプが押されません。
つまり、海外旅行で必ずつきまとう入国審査もしなくていいのです。
これがシェンゲン協定のメリットです。
ドイツもフランスもオランダも、下の図で言う「青色の国」に当たり、パスポートチェックをしないからです。
しかし、デメリットも存在します。
それが4.の「アムステルダムからロンドンへ向かう」時です。
イギリスはシェンゲン協定に加盟して「いない」ので、通常通り出国と入国のスタンプが押されます。日本を出た時と同じ要領ですね。
しかし、ドイツの出国のスタンプとフランスの入国と出国、オランダの入国のスタンプはありません。
つまり「ドイツに入国し、オランダを出国」する事になります。
これに対して、審査官が疑問を抱くのです。
「こいつはどうやってこの国に来たのかわからないのに、オランダを出国しようとしている、そもそもオランダの入国スタンプはどうしたのか」と。
↓私はスペインでシェンゲン協定域内に入り、ドイツでシェンゲン協定域内から出ている
これは同様に、4.のイギリスの入国の時にも起きます。
この対策として、「シェンゲン協定非加盟国を最初に訪れること」「搭乗券は捨てずに旅行の最後まで持っておくこと」「eチケットがあるなら印刷して持ち歩くこと」が挙げられます。
こうする事によって、スタンプとの整合性が一致するからです。
もし審査官に突っ掛かれたとしても、きちんと説明し、あくまで怪しくない事を証明しましょう。ここであやふやにするのは良くないです。
いちいち説明するのはしんどいものの、そうする他ありませんし。
※なぜこんな事を言うかと言うと、実際に私の友人がこの罠に引っかかったからです笑