アリタリア航空が経営破たんしたのを受けての所感 続編
アリタリア航空が事実上の経営破たんをしてから、約1週間経ちました。
今のところ、特にアリタリア側からアナウンスはなされていませんが、こんなニュースが飛び込んできました。
「イタリアにはフラッグキャリアなんていらない」
という意見からも伺えるように、税金で支援してもダメなら、これ以上やっても税金の無駄使いではないのか?という意見が出ているようです。
「アリタリアを買収しようとする他の航空会社がいない」と言うのも驚きですが、無理もありません。
というのも、アリタリア航空は、ルフトハンザやブリティッシュエアウェイズなどの、他の強大なヨーロッパの航空会社に比べて、国際線の就航都市が結構少ないんです。
前回の記事で、「日本とイタリアを結ぶ直行便が消えるのは困る」と言いましたが、アリタリアが消えてしまったとして、アジアで困るのは実は日本ぐらいだったんです。
アリタリア航空は、東アジアの中で「成田」「北京」「ソウル」に就航しています。
それ以外のアジアは、全て西アジアにしか就航していません。
また、成田線以外は全てどこかしらの航空会社が競合しています。
また、そこまで高頻度運行でもないので、収益を上げられているかと言われれば、いくらか疑問が残ります。
アフリカ方面は、アリタリアがある程度独占出来ている都市が多いですが、やはり小型機がメインです。
一方、大西洋方面はどうか。
まずニューヨーク線に関しては、他社が競合しまくっていて、アリタリアはその中の1つ…というような位置づけです。一応ロサンゼルスにも飛ばしているみたいです。
独占しているのはボストン線とマイアミ線ぐらいでしょうか。意外にもシカゴには就航していません。
南米方面になると、ある程度機材も大きくなり、独占している路線も多くなります。
ただし、毎日運行ではない路線もちらほらいるあたり、稼ぎ頭になる路線は限られていると察します。
調べていて思ったのは、「この航空会社、あれば便利だけど、なくなったとしてそこまで劇的に困るわけでもない」という事実です。
もちろん企業の競争原理を働かせるには、1社より2社運行した方がいいに決まっています。
また、イタリア国民に都合のいい路線網を展開出来るのも「フラッグキャリアがあってこそ」だと思います。
※例えば、他国の航空会社がイタリア線で採算が取れないと判断した場合、何の躊躇もなくさっさと廃止するでしょう。
こればっかりは、いくらイタリア国民が文句を言っても「需要減少」の一言で済まされてしまいます。
ただ、いくらメリットがあるにしても、2度潰れた企業をまだ助けるのか?
また、たくさんキャリアの選択肢があるヨーロッパ域内で、そこまで優位に立てるような条件が見つかるのか?という意見が出るのも仕方ないでしょう。
そんな中でも、旅行する側としては「日本の航空会社が破綻したわけじゃないし、全然影響ないでしょ」と言わずに、こうした動きをしっかりと見届ける必要があると思いますよ。
前まで直行便があったのに、今となっては…というパターンは結構ありますしね(ターキッシュエアラインズの関空撤退とかが記憶に新しいでしょうか)
なんとも締まらないまとめ方ですが、アリタリア航空からの声明が出ない限り、なんとも言えませんし、これにてご勘弁ください。
※また2017年5月11日現在、アリタリア航空は変わらずに運航を続けております。