修行僧ぷってんの雑記

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アリタリア航空が経営破たんしたのを受けての所感 続編

 
アリタリア航空が事実上の経営破たんをしてから、約1週間経ちました。
 
今のところ、特にアリタリア側からアナウンスはなされていませんが、こんなニュースが飛び込んできました。
 
「イタリアにはフラッグキャリアなんていらない」
という意見からも伺えるように、税金で支援してもダメなら、これ以上やっても税金の無駄使いではないのか?という意見が出ているようです。
 
アリタリアを買収しようとする他の航空会社がいない」と言うのも驚きですが、無理もありません。
 
というのも、アリタリア航空は、ルフトハンザやブリティッシュエアウェイズなどの、他の強大なヨーロッパの航空会社に比べて、国際線の就航都市が結構少ないんです。
 
さらに、ヨーロッパ域内ではLCCの台頭によって、実に7割の路線で他社との競合区間になっている、という話もあるそうです。

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前回の記事で、「日本とイタリアを結ぶ直行便が消えるのは困る」と言いましたが、アリタリアが消えてしまったとして、アジアで困るのは実は日本ぐらいだったんです。
 
アリタリア航空は、東アジアの中で「成田」「北京」「ソウル」に就航しています。
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それ以外のアジアは、全て西アジアにしか就航していません。
 
意外なことに「シンガポール」「バンコク」「香港」などの、東南アジアの有数都市には就航していないんです。
 
また、成田線以外は全てどこかしらの航空会社が競合しています。
 
ミラノ〜ソウル線に至っては、アリタリアが運行していないのに、韓国のあの2社が運行している、というような有様です。
 
西アジアに関して言えば、イタリアからおおむね3時間以内に着いてしまう距離なので、機材もA320などの小型機がメインです。
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また、そこまで高頻度運行でもないので、収益を上げられているかと言われれば、いくらか疑問が残ります。
 
アフリカ方面は、アリタリアがある程度独占出来ている都市が多いですが、やはり小型機がメインです。
 
一方、大西洋方面はどうか。
まずニューヨーク線に関しては、他社が競合しまくっていて、アリタリアはその中の1つ…というような位置づけです。一応ロサンゼルスにも飛ばしているみたいです。
 
独占しているのはボストン線とマイアミ線ぐらいでしょうか。意外にもシカゴには就航していません。
 
南米方面になると、ある程度機材も大きくなり、独占している路線も多くなります。
ただし、毎日運行ではない路線もちらほらいるあたり、稼ぎ頭になる路線は限られていると察します。
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調べていて思ったのは、「この航空会社、あれば便利だけど、なくなったとしてそこまで劇的に困るわけでもない」という事実です。
 
もちろん企業の競争原理を働かせるには、1社より2社運行した方がいいに決まっています。
また、イタリア国民に都合のいい路線網を展開出来るのも「フラッグキャリアがあってこそ」だと思います。
 
※例えば、他国の航空会社がイタリア線で採算が取れないと判断した場合、何の躊躇もなくさっさと廃止するでしょう。
こればっかりは、いくらイタリア国民が文句を言っても「需要減少」の一言で済まされてしまいます。
 
 
ただ、いくらメリットがあるにしても、2度潰れた企業をまだ助けるのか?
 
また、たくさんキャリアの選択肢があるヨーロッパ域内で、そこまで優位に立てるような条件が見つかるのか?という意見が出るのも仕方ないでしょう。

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そんな中でも、旅行する側としては「日本の航空会社が破綻したわけじゃないし、全然影響ないでしょ」と言わずに、こうした動きをしっかりと見届ける必要があると思いますよ。
 
前まで直行便があったのに、今となっては…というパターンは結構ありますしね(ターキッシュエアラインズの関空撤退とかが記憶に新しいでしょうか)
 
 
なんとも締まらないまとめ方ですが、アリタリア航空からの声明が出ない限り、なんとも言えませんし、これにてご勘弁ください。
 
※私自身が、アリタリア航空関連の写真を1枚も保有していないため、全て他社の画像を流用しております。申し訳ございません。
 
※また2017年5月11日現在、アリタリア航空は変わらずに運航を続けております。