修行僧ぷってんの雑記

移動メインのトラベラー

リニアがもたらす不幸な未来

リニアによる開通メリットは、以前別の記事で書きました。

 

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その際に、「品川〜名古屋40分、品川〜大阪67分のカタログスペック」でしか話をしない鉄オタを批判しましたが、このカタログスペックによって、ビジネスマンは今より不幸になるのでは?と思ったので、改めて筆を取りました。

 

改めて言いますが、リニア開通時には、品川〜名古屋が40分、品川〜大阪が67分で着く試算です。つまり、名古屋〜大阪は差し引き27分で着く事になりますよね。

 

するとどうなるか。

 

「名古屋と大阪にあった2拠点を拠点統合して、西日本エリアの土地や建物を清算する」

「名古屋〜大阪間は片道30分(往復1時間)しかないんだし、多少残業代を付けても、社員を出張させる方が安上がり」

「片道30分は余裕の日着圏内だから、基本は日帰り出張で。宿泊は禁止」と考える経営者が現れても、何ら不思議じゃないことです。

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当然、ビジネスマンはリニアの駅に住んでいるわけでは無いので、最寄りのリニア駅まで余計な移動が発生します。

 

拠点統合に伴って、元あった客先を全滅させるならともかく、普通なら、客先は(撤退した拠点のエリアに)残したまま、自社の拠点だけ畳む事になるでしょう。

 

 

 

拠点が関西圏か中京圏のどちらかに集約されるか、というのは、企業がカバーしている客先のエリアによって変わると思います。

中四国エリアの客先も関西からカバーするなら大阪に拠点集約、三大都市しか客先がいないなら名古屋、といった具合に。

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そうなると、ビジネスマンにとっては全く良いことがありません。無駄な出張だけが増え、移動距離と時間がかさむ事になります。

 

 

これは何度も何度も言いますが、「移動時間は絶対的に無駄」です。

リニアでどれだけ移動時間が短くなろうが、移動中の車内でWi-Fiを使えようが(※新幹線Wi-Fiはとてもビジネス向けではないです)、「移動した時点で無駄なコストが発生している」のです。

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例えば品川〜名古屋間が、新幹線で90分かかるところ、リニア開通時に40分に短縮されても、リニアで往復80分かかります。

新幹線の往復180分よりマシですが、そもそも移動しなければ0分ですよ。

 

「たまの出張でも所要時間が短い方が良いじゃないか!」という反論も結構ですが、それは有効活用されていない地方の高速道路と同じく、ムダという批判を甘んじて受け入れる必要はあります。

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ましてやリニアは、JR東海が自前で作る「民間事業」なのですから、採算で全てを論じる必要はありますし、たまにしか使われないのは死活問題です。

 

 

とはいえ、拠点を畳み、拠点間はリニア出張、というスタイルが推進されれば、リニアはビジネスユースが残ることになるでしょうが、「リニアのおかげで…」と歓迎されるのは、どちらかと言えばレジャーユースの方では無いでしょうか。

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もっとも、日本の経済や労働市場が、今後さらにシュリンクする事が確実視されている中、リニアが全線開通する予定の2040年に、リニアが気軽に乗れる乗り物であるかどうかは、全くもって分かりませんが。