修行僧ぷってんの雑記

移動メインのトラベラー

700系のぞみで名古屋から東京へ惜別乗車

2020年3月8日、東海道新幹線から700系が引退。

 

JR東海とJR西日本の「妥協の産物」と呼ばれる700系ですが、そんな車両でも、やはり乗り納めはしたくなるものです。

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この記事を書いている段階では、もはや「こだま」の定期列車すら存在せず、もっぱら「のぞみ」の臨時列車に時折充当される程度です。

 

そんな状況ですが、たまたま予定が合ったので、のぞみ408号に乗車。

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今回はあえて喫煙車を指名買い。私は愛煙家ではないんですけどね。

 

券面はこんな感じ。

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切符に表示されているのは「たばこマーク」。座席でたばこが吸えたという「常識」も、いずれは過去のものとなるのでしょうか。

 

 

 

切符を改札に通し、いざホームへ。

 

階段を上がると、14番ホームに人が多く集まっているのが見受けられました。お目当ての車両が到着するホームです。

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のぞみ408号は、名古屋を19時48分に到着し、49分に出発します。

 

撮影者は、たった1分に全力を注ぐ事になるのですが、その時を待つのは、意外にもスーツ姿の方々が多く、年齢層も高めでした。

 

 

19時45分ごろ、のぞみ408号の案内放送が流れますが、「黄色い線の内側までお下がりください」という駅員の肉声放送が繰り返し流れました。相変わらず素行はよろしくないようです。

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19時48分、定刻通り、のぞみ408号が姿を見せます。

 

簡単に撮影し、いざ車内へ。

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車内はなんだか少し眩しく感じました。混雑度はそこまででもなく、かといってガラガラなわけでもないですね。

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※今思うと、混雑度に関しては、乗車日の問題というより感染症の影響が大きいです。

 

 

窓側の自席に座り、一息ついてリクライニングを倒すと、「あれ?こんなに倒れるんだ」という感覚、そして足元をちらと確認して、「あ、コンセントは無いのか」という感情を抱きました。

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名古屋 19時49分発。

 

 

自席にて700系の加速をしっかり堪能していると、自動放送が流れました。若干音がくぐもって聞こえましたが、気にしません。

700系引退の関係からか、それとも700系に乗っているからか、車内販売では積極的に700系関連商品を紹介してました。

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豊橋を通過したころ、簡単に車内探索をしてみました。

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まず気になったのはここ。車両番号の横に禁煙マークがありません。

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そして16号車のデッキには固定電話。

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さらには和式トイレ。

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これらの設備が、一昔前のスタンダードだったと考えると、どこか感慨深くもあります。

 

 

というか、700系の車内に、この広告が貼り出されているのは、なんと皮肉なものか……

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再び自席に戻り、のんびり過ごします。

その間も列車は快走し続け、順調に東進。

 

 

700系が一世代前の車両ということもあり、もっと揺れるかと思っていましたが、正直そこまで気になりませんでした。

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ただ、揺れが気にならないとはいえ、揺れないわけではありません。

バックテーブルにモノを乗せると、携帯が床に落ちてしまうほどには揺れます。N700系乗車時の揺れの違いを改めて実感する事となりました。

 

 

熱海通過前に減速したのを感じた後は、あっという間に静岡県を抜け、 続けて小田原を定刻で通過。すかさず、上りのぞみ乗車時のお馴染みのアナウンスが流れます。新横浜到着は14分後。

 

 

いつの間にか列車は減速を始めていました。

 

新横浜 21時11分着。1番線到着です。

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降車客はあまりいませんが、1人乗車してきました。新横浜から、喫煙車の自由席にわざわざ乗ってくるあたり、「狙って乗った」のでしょう。

 

 

ここからは、最高速度が制限される事もあり、落ち着いた走りに変わります。

 

横須賀線が並走し、多摩川を渡れば、あっという間に景色が戸建て住宅から高層ビル群に変わります。

 

品川 21時22分着。こちらは半分以上降車しました。すぐに発車します。

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今回、700系の乗り納めという事で、もっとしみじみするかと思いましたが、なんだか実感が湧きませんでした。最近会っていなかった友達に、久しぶりに会った感覚とでも言いましょうか。

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それでも、「東海道新幹線で、またこんど」の機会はもうなく、700系は引退します。いわば「定年退職」です。

 

 

2020年3月以降は、

「1323席の座席定員数を確保しつつも、車両性能は全く一緒」

という、日本社会の縮図のような状態になるわけです。JR東海にとっては宿願でしょう。老いさばらえた戦力は、追い出されるほかありません。

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JR東海にしてみれば、「退職者」を丁寧に見送る必要はないはずですが、最後に退職祝いを開いてもらえたのです。

 

妥協の産物と呼ばれ、他の車両に、何かしらの部門で常にトップを譲り続けた700系にとって、ここまで各方面から注目されたことがあったのでしょうか…………

 

 

 

 

品川を出ると、のぞみ408号はゆっくりラストコースへ。高層ビル群を抜けていきます。終着駅手前で流れる、聴き慣れたチャイムが流れ、自動放送が入ります。

 

 

のぞみ408号は、東京駅の18番ホームに、定刻通り21時30分に到着しました。

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700系を熱心に撮影する人で、ホームはいっぱいでした。

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21時33分、のぞみ408号の後ろをずっと追いかけてきた、のぞみ50号が隣の19番ホームに入ってきました。が、誰も目もくれません。

車両は言うまでもなくN700系。

 

 

これまで、散々700系とN700系を比較してきましたが、その差はダイヤ面でも顕著に現れています。

 

 

700系で運行したのぞみ408号と、N700系で運行したのぞみ50号とでは、新大阪で10分時間差がありましたが、名古屋で7分差、東京では3分差にまで縮まっていました。

 

 

 

 

2020年3月14日、東海道新幹線はダイヤ改正を行い、史上初の「のぞみ12本ダイヤ」が実現します。

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その6日前、のぞみ315号の運転を最後に、数多くの人々を輸送し続けた700系は、東海道新幹線から姿を消すことになります。

 

 

追記:感染症流行の影響で、「のぞみ315号」のさよなら運転イベントが中止となってしまい、2020年3月1日の運行が最後となってしまいました。

https://jr-central.co.jp/notice/detail/info_00044.html

 

残念ですが、これも700系らしいといえば700系らしい引き際と言えるのではないでしょうか。そんな印象を受けました。